経済産業省の地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する研究会が、昨年11月から6回にわたって行った会議の結果を踏まえ、制度設計案に関する報告書をまとめた。報告書は、事業の社会性を継続的に担保する仕組みが必要であり、事業主体を機能させるにはKPI(キー・パフォーマンス・インディケーター=重要業績評価指標)の開発や定着、インセンティブ等を含む社会全体の仕組みが重要だと提言。制度の骨格として、株式会社の特徴を取り入れた制度設計としつつも、合同会社の特徴も選択可能な形で盛り込むことを提案した。
また意思決定のあり方として、出資額に応じた議決権による意思決定を原則とするものの、一人一票の議決権も排除しないと明記。主に出資や融資による資金調達を想定するとした上で、出資者(社会的インパクト投資家や地域住民等)が社会的事業の実施状況をモニタリングできる仕組みが必要だと提唱した。少子高齢化や過疎化等に伴い、特に地方で鉄道・バス路線の廃止、小売店やガソリンスタンドの減少など地域生活を支えるインフラ等が揺らいでいる。研究会は経済的利益と社会的利益の双方を追求し、出資等による資金調達を促しながらビジネスを行う者に注目して課題や制度上の対応策等を中心に検討を重ねてきた。
■参考:経済産業省|地域を支えるサービス事業主体のあり方について|
http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160420003/20160420003-1.pdf