「師」とは、人が生きて行く上で何らかの拠り所にする人物である。人物と言っても、今現在生存する人に限らず、歴史上の人であったり、書物を通して知る人物であったりしても良い。ここでは事業後継者が持つべき師について考えてみたい。
経営者や管理者は、師として一般に会社の各種顧問や先輩・学校時代の恩師・取引先や業界のリーダーや先輩等の中に見出す。また、師の条件として重要な事は、気が合って真から敬服出来ることである。この条件が合えば、素直な態度で接することが出来、利害に捉われず長続きする。
以上は事業後継者にも当てはまる。一般に、事業承継計画は出資金や地位の承継が中心になるが、実は後継者の人づくりを早くから進めることが一番の決め手である。例えば、20代・30代は広く実務を習得し、40代くらいまでに一つき合う師(人物)や書物(信条等を学ぶ)を見出してもらいたい。後継者が師に期待することは、仕事上の悩みや迷いを相談したり、仕事上の夢や目標を話したり(人は信頼する人に話すことで決断出来る)、時には叱責や励ましを頂いたりする為である。人の上に立つ者は、何事にも独り善がりの判断をしないことが大切であり、師を持つことでリーダーとしてのバランスを養うことが出来る。