Weeklyコラム 百里を行く者は

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表題は、「百里を行く者は、九十を半(なか)ばとす、と。此れ末路の難(かた)きを言うなり」(『戦国策』林秀一・福田襄之介著、明治書院新書漢文大系)という言葉で有名である。人生や事業経営等は、途中がずっと順調であっても最終コーナーが難しい。

筆者は経営戦略や経営計画の策定と指導をしている。例えば5年間の経営改善計画の場合、最初の2年くらいで改善が大きく進み、3年で目標近くに達してしまうことがよくある。ところがここで力を抜くと、4~5年目で元の厳しい状況に戻ってしまうことがある。目標に近づき、油断すると最後の仕上げがうまく行かない。

人生も同じかもしれない。例えば、会社員等が定年まで数年となり、「何とか無事に終えそうだ」と気を抜いた時が要警戒だ。勤務年数では90%を超えたかもしれないが、最終の数年間で状況が大きく変わることもある。もちろん悪い方だけではなく、思わぬ良い方に向かうこともある。筆者の友人は、定年の2年前までずっと総務課長だったが、事業承継の際に後継者から突然副社長に指名された。人生と事業経営は、たとえ目標近くまで順調に行っても道半ばと気を引き締めて、最終コーナーこそ一層用心して奮起する姿勢が大事である。