現代において「自分を売り込む」とは、就職活動が代表で、自分の全人格(職務能力を中心に)をアピールする数少ない機会かもしれない。多くの職場に共通する応募者の状況や職務能力としては、学歴・職歴・年齢・一般常識・容姿・健康・性格(長所や短所)等を指す。また、職場によって異なる特別の職務能力と言えば、公的資格・技術(技能)・特技・語学・交渉力・人脈等がある。
ところで、今や国民の所得格差が大きくなり、労働者の所得も例外ではない。一般に、単に学歴・一般常識・職歴等が水準以上あるだけでは収入が高くなるわけではない。各職場の特性に必要な特別の職務能力がどれかあってはじめて、収入や地位が上がる可能性がある。
江戸時代の歴史小説を読むと失職した武士(いわゆる浪人)の貧しい場面がよく出てくるが、自分を売り込む材料(武術・算術・交渉術・人脈等)を持たなければ就職(仕官)は実現しなかった。現代の就職活動でも、日頃から特別の職務能力を身に付ける努力をすることは当然、その職務能力を積極的にアピールする自分を売り込む技法が求められる。例えば、応募先に有効な資格・特技・趣味(希少性があればなお良い)・ボランティア活動の実績等が自信を持って伝達出来れば、就職後も大いに期待される。