「メモを取る」という習慣の度合が、皆様は強い方でしょうか。メモを取る機会は大きく分けて、他人(ひと)と対話しながら取る場合と、自分のみで記憶や記録の手段として取る場合とがある。また、メモを取ることは、相手の話が理解し易くなる等の利便性もあるが、話を真剣に聞いているという印象を持たれる効果も大きい。
さらに大きな効果は、情報の蓄積と活用の拡大である。メモによって思考の流れが整然と形成され、語句や数値等によって新しいアイデアが出現したりする。また、アイデアの組合わせによって新商品企画や斬新な課題解決策が構築されることもある。
ある有名女流作家のこんな体験談を読んだことがある。ある時、この作家は急に小説が全く書けなくなり、相談した人から「原稿用紙の前に座って、メモでも何でもよいから文字を適当に書いてみなさい」と言われた。指示通り枡目を埋めているうちに、徐々に小説が書けるようになったという。
人は、例えば「桜」「梅」「菊」「バラ」等の文字を書いたり、その文字を見たりするだけで、その花の造形や色彩等が連想出来るものだ。文字や図柄等のメモによって、話の内容がより鮮明になったり、メモの組合わせによって新しいアイデアが出現したりすることは、当然の現象かもしれない。