国税庁は先般、26事務年度の租税条約等に基づく情報交換事績を公表した。多国間での「税務行政執行共助条約」を併せ、我が国のネットワークは64条約(93の国・地域に適用)まで増加している。概略は以下のとおり。
〈1〉要請に基づく情報交換:国税庁から外国税務当局に発した要請は526件で、アジア・大洋州が7割を占めた。外国税務当局からは、125件が寄せられた。【実施例】内国法人がA国法人からの輸入取引でA国の個人Bに支払ったとする手数料に関し確認したところ、役務提供の実態はなく、架空手数料であったことが判明した。
〈2〉自発的情報交換:国税庁から外国税務当局への提供は317件、外国税務当局からの提供は1,258件。【実施例】C国法人Dが内国法人に対し、外注費を現金で支払ったなどの理由により、内国法人において売上の計上漏れが想定される取引に係る情報をC国の当局から受領した。
〈3〉自動的情報交換:国税庁から13万7千件、外国税務当局から13万2千件の提供。OECDは昨年、非居住者に係る金融口座情報を自動的に交換するための共通報告基準を公表。わが国も先の税制改正で、国内金融機関から非居住者の保有する口座の残高、利子・配当等の年間受取総額等を報告させる制度を導入している。
■参考:|平成26事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要|
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/joho_kokan/index.htm