Weeklyコラム 商売にも養生が大切

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健康に日頃の養生が大切なように、商売を安定して営む為には日々用心する謙虚さが必要である。古典的な養生書である貝原益軒著『養生訓』によれば、養生の要訣を一字で表すと「畏(おそるる)」であると言う。生命を畏敬して慎んでいたわるという意味で、飲食・色欲・労働・安逸・睡眠等が過度にならないように心掛けることである。

商売においても、「畏」を活かすことが有効である。例えば、創業に当たって設備投資をする場合、資金(借入金も含めて)の全てを使って店舗取得・内装・設備購入・商品仕入等をすることは厳に慎まねばならない。つまり、規模は控えめに始めて、徐々に拡大して行く。また、どんなに順調に経営している時も、突発的な出来事に備える体制作りが大切である。肉体であれば外邪(風・寒・暑・湿による病気)から身を守る手段であるが、経営にも地震・火事・水害・盗難・情報漏洩等の外からの無数の侵害によって致命的な打撃を受けることがある。平穏無事な日常の時こそ、各種保険・セキュリティ対策・事業継続計画(BCP)等を準備しなければならない。

以上、商売における養生は憶病な対応に見えるかもしれないが、実際は忍耐強く生き続ける基であり、畏の精神は百年以上続いた老舗企業の社是としても珍しくない。