今、職場の話題の一つに、「有給休暇(以下、有休と略す)の義務化」がある。発端は、平成27年3月答申の法律案要綱の報道であった。概要は、「使用者は年休が10日以上の労働者に対し、その内5日については、1年以内の期間に時季を定めて与えなければならない」とするものである。
使用者の義務というよりも、従来から言われている年次有休の計画的付与のようなしくみである。有休は労働者の権利とされてきたが、労働者が自己の都合によって好きな日に取ることは難しい。就業規則等により、使用者は労働者が申出た有休の日を変更したり、一定期間前に申出ることを定めたり出来るとされる。さらに問題なことは、一部の日数でも有休を取ることが出来ない職場も多いということである。その理由として、例えば次のような事が言われる。
・有休を取ると、同僚が迷惑する(特に、職務担当者が固定しているような業務)。
・職場で有休をとる同僚が少なく、有休を取る者はやる気のない社員と見られる。
・人員が不足(補充が無い)していて、誰かが有休を取ると、仕事が停滞してしまう。
有休を計画的に付与する義務は、有休制度の普及に役立つが、一層大事な事は全ての労働者が所定日数の有休を実際に取れるようにするしくみ作りではなかろうか。