ここでは誰かに相談をする時の準備や心構えを問題にする。経営相談等において(筆者は相談を受ける立場)、回答に面喰ったり、極端な場合には不快になったりするのは、例えば次のような時である。
(1)回答の難点(相談による行動から生ずるリスク等)を探して、もし失敗した場合の責任を問う(2)仕事の特殊性を強調して、(相談を受ける人が)知識や経験が少ないことを指摘する(3)回答を何でも否定的に捉える。例えば、立地が良いですねと言えば、だから競争が厳しいと悲観する。夜間や休日の営業を提案しても、始めから不可能の理由ばかり探している。
人が他人に相談する目的や期待とは、「自分とは異なる又はより上位の知識・経験を持つ者の話を聞いて自分の意思を決め、その行動によってより的確で成果の大きい手法を知ること」である。「相談に乗ってよ」と言って、相手から直接金銭を借りる相談をしたり、得意先の紹介を受けたりすることと勘違いしている方もいるようだ。また、一番困る相談は具体的に何を相談したいのか、確認しても反応が明確でない場合である。創業相談であれば、自分の希望・経歴・展望、資金調達の目途、今後の行動スケジュール程度は話せるように準備すべきである(文書化出来ればなお良い)。