ここ数年、最低賃金の引上げは生活保護費とセットで議論されることが多かった。いわゆる逆転現象を改善しなければならないという論調により、最低賃金を引き上げようとする動きが強くなっていた。
しかし、厚生労働省の調査では、この逆転現象は7月15日時点において全都道府県で解消されている。そのため、今年度については生活保護の受給水準を理由にした最低賃金の引上げはないのでは、という声も聞こえている。
一方、経済財政諮問会議において、首相から最低賃金の大幅な引上げ指示が出るなど、今年度についても一定額の引上げが求められているようだ。現在、今年度の地域別最低賃金引上げの目安額を決める中央最低賃金審議会の審議が行われており、今月末に予定されている答申の行方を気にする経営者も少なくないだろう。
最低賃金の引上げは人件費増に直結する。ギリギリの経営を続けている経営者には大きな負担となっているのも事実だ。 2001年に708円だった東京都の最低賃金は2014年には888円となった。最低賃金は1.25倍となったわけだが、売上についてはなかなかそうもいかない。昨年は全国平均で16円引き上げられた最低賃金、今年度の行方が気になるところだ。