孫請けからの役務提供なし 寄附金とみなし損金不算入に

請求人は、請負契約に基づき請負業者に支払った金額は、当該工事に不可欠な役務の提供に対する正当な対価であり、損金または課税仕入れとして処理することは適法であると主張した。請負業者がその一部を関連法人に再委託したとしても、実質的には工事完成に資するものであるから、役務提供の対価に該当するとした。

これに対し課税庁は、請求人が請負業者に支払った金額のうち、当該業者がさらに関連法人に渡した部分について、実際の役務提供の実体がなく、形式的に再委託を装っただけであり、実質的には請求人から関連法人への金銭の贈与に過ぎないと判断した。そのため、法人税法第37条第7項に基づき寄附金とみなし、損金不算入とすることが適切であると主張した。

審判所は、請求人と請負業者間の契約内容や実際の取引状況を検討した結果、請求人から関連法人に至る支出については、請負契約の実体とは無関係であり、関連法人が具体的な役務を提供した事実も確認できなかったと認定した。そのため、当該金銭の支出は法人の経済的利益の無償の供与に該当し、法人税法上の寄附金と認められると判断した。また、消費税法上も課税仕入れには該当せず、仕入税額控除の対象外とされた。

■参考:国税不服審判所|請求人が支払った建物等の請負工事代金のうち請負業者が請求人の関連法人に支払った金額は、寄附金の額に該当すると判断した事例(令和6年12月10日・裁決)|

https://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204090500.html#a137