令和8年度税制改正意見書 在り方に言及-会計士協会

公認会計士協会は令和8年度の税制改正要望において、第1章で「税制の在り方」について多角的な提言を行った。背景には、少子高齢化・人口減少の進行、経済の国際化・デジタル化など、中長期的な社会情勢の変化に対応しうる税制のあり方を確立する必要性があるとの危機認識がある 。

まず、我が国企業の国際競争力強化を掲げ、グローバル化する経済環境で企業が安定的に成長できる税制基盤が求められるとした。働き方の多様化に対応した納税環境の整備についても提言し、テレワークや副業・兼業の拡がりに伴う新たな課税・申告上の不整合を見直すべきとされた 。

また、経済的格差・資産格差の是正に向けた視点も含まれ、税制を通じた再分配機能の強化も強調。従来の累進性強化や富裕層課税の改革に加え、投資・教育への税優遇策の見直しにより格差是正を進める姿勢が示された 。

さらに特徴的なのは、新たに掲げられた「財源の裏付けのある税制の更新」である。国民負担を軽減していく一方で、必要な政策的税減免については必ず財源を明確にし、持続可能な歳出・歳入のバランスを保つべきだとした。全体をまとめると、「安定的な財源を確保しつつ、変化する社会・経済構造に対応できる柔軟な税制を構築すべき」との方向性を鮮明化したといえる。

■参考:公認会計士協会|プレスリリース「「令和8年度税制改正意見書」の公表について」|

https://jicpa.or.jp/news/information/2025/20250623fjc.html