令和6年度国税査察で脱税調査 総額82億円、平均84百万円

令和6年度の国税査察は、脱税抑止と刑事責任の追及を目的に実施され、調査着手151件、処理150件のうち98件が告発された。脱税総額は82億円で、1件当たり平均8,400万円、告発率は65.3%に上る。税目別では、消費税事案29件(うち不正還付17件)、無申告13件、国際事案20件など、悪質かつ社会的影響の大きい事案が多数含まれた。

消費税事案では、高級腕時計の偽装輸出や架空金地金取引、不正工事請負による課税仕入過大計上等が確認された。無申告事案は、関係法人への請求書発行による消費税秘匿、動画配信使用料や株式譲渡収入の未申告が目立った。国際事案では、海外法人の売上除外・海外預金口座による所得隠匿、暗号資産変換による所得逃れなどが摘発された。脱税指南者が架空損失で源泉税還付を誘導した事案、税理士や弁護士、芸能事務所や医療法人による架空外注費や広告費計上などが挙げられる。

一審判決では99件すべて有罪、うち13件が実刑、最長は懲役9年に及んだ。国税当局は税目横断的な調査体制のもと、消費税・無申告・国際・社会的波及事案に重点を置いており、今後もグローバル化・デジタル化に対応した厳格な査察が継続される見込みという。

■参考:国税庁|令和6年度査察の概要 |

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sasatsu/r06_sasatsu.pdf