制度の持続可能性に向け 次年度年金制度改正法案国会へ

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令和6年5月、厚生労働省は「国民年金法等の一部を改正する法律案」を第217回通常国会に提出した。本法案は、就労や家族形態の多様化に対応しつつ、高齢期の所得保障を強化するものであり、制度の持続可能性と公平性を確保する観点から、複数の年金制度改正を盛り込んでいる。

主な改正点の一つは、厚生年金保険の適用範囲の拡大である。短時間労働者に対する企業規模要件を段階的に撤廃し、2035年までに全面的な適用を目指す。また、個人事業所における適用除外業種も2029年以降、新設事業所から撤廃される。

次に、在職老齢年金制度については、支給停止基準額が月額50万円から62万円に引き上げられ、高齢者の就労継続を後押しする制度設計となっている。さらに、遺族年金制度では、従来給付対象でなかった一定の男性配偶者も新たに支給対象とされるほか、18歳未満の子がいない配偶者については5年間の有期給付とする改正が提案されている。

加えて、厚生年金の標準報酬月額の上限を65万円から段階的に75万円へ引き上げることで、高所得者の保険料と給付のバランス調整を図る。また、私的年金制度では、iDeCoの加入可能年齢が70歳未満まで拡大され、企業型DCでは加入者拠出に対する制限が緩和される。

■参考:厚生労働省|年金制度改正法案を国会に提出しました|

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html