政府は2025年版の中小企業白書と小規模企業白書を閣議決定した。両白書は、厳しい経営環境の下、中小企業・小規模事業者が様々な課題を乗り越え、成長・持続的発展を遂げるに当たっては、経営者が、自らが置かれている状況と方向性を把握し適切に対策を打つ力としての「経営力」に焦点を当てて分析している。
白書によると、円安・物価高の継続や「金利のある世界」の到来による生産・投資コスト増、構造的な人手不足など、中小企業・小規模事業者は厳しい経営環境に置かれている。そうした中で、経営力を個人特性面、戦略策定面、組織人材面の3つの観点から分析した。
個人特性面では、広域ネットワークで他の経営者と交流し、学び直しなどに取り組む。戦略策定面では、経営計画策定・実行、差別化や市場環境を意識した価格設定を行う。組織人材面では、経営理念、業績・経営情報の共有を重視するオープンな経営に加え、働き方・職場環境の改善などの従業員を大切にする人材経営を行う。その上で、中小企業は売上高規模ごとに異なる「成長の壁」の打破が必要であり、成長の加速段階では経営者にないスキルを持つ補完型人材の確保や、経営者の職務権限分散による一人経営体制の克服が重要などと指摘している。
■参考:経済産業省・中小企業庁|2025年版中小企業白書・小規模企業白書が閣議決定されました|
https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250425001/20250425001.html