被上告人は、自身が所有する家屋の平成30年度の評価額について、広島市長により決定され家屋課税台帳に登録された本件家屋の価格を不服として、広島市固定資産評価審査委員会に申し立てた。同委員会はこの申し立てを棄却、被上告人は審査決定の取消しを求めて訴訟を提起した。
被上告人は、本件家屋の評価に用いられた経年減点補正率が誤っていると主張。本件家屋は複合構造家屋であり、その主要な構造部分である「S造」に基づいて評価されるべきであるとし、本件家屋の評価額が過大であると訴えた。原審は、地方税法及び評価基準に基づき、平成30年度以降に新たに課税対象となる複合構造家屋には床面積方式が一律に適用されるべきとする広島市長の取扱要領は一般的に合理的であるとしたが、評価基準においても合理性を欠かないと判断し、本件審査決定の一部を取り消した。
最高裁判所は、本件家屋の低層階の構造に基づく経年減点補正率を用いた評価方法は合理性を欠かず、複合構造家屋において、主要な構造部分である低層階の構造に基づいて評価することが評価基準の趣旨に沿っているとし、被上告人の請求を退け、評価基準に基づいて広島市長が適用した評価方法には違法性はないとした。
■参考:最高裁判所|複数の構造により建築されている非木造家屋について家屋課税台帳に登録すべき価格を、固定資産評価基準別表第13の定める経年減点補正率等の適用を認めた事例(令和7年2月17日・第二小法廷)|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93791