日本政策金融公庫はこのほど、「中小企業の雇用・賃金に関する調査」を発表した。それによると、相変わらず人手不足に悩まされながらも、最低賃金や物価の上昇分に対応すべく、人件費割合を挙げざるを得ない中小企業の現状が浮かび上がる。調査概要は以下の通り。
正社員が「不足」と回答した企業割合は57.7%と、前回調査(58.8%)から低下。「適正」は36.4%、「過剰」は5.9%となった。業種別にみると、運送業、建設業、宿泊・飲食サービス業などで「不足」の割合高となる。人手不足の影響については、「売上機会を逸失」41.7%と最も多く、続いて「残業代、外注費等のコストが増加し、利益が減少」22.0%、「納期の長期化、遅延の発生」11.1%となっている。
人手不足への対応については、「従業員の多能工化」44.5%、「業務の一部を外注化」33.8%、「残業を増加」27.1%となっている。正社員数を前年から「増加」した割合は23.6%、「減少」は24.7%となった。正社員の給与水準が「上昇」した割合は75.2%と、前回から7.2ポイント上昇した。上昇の背景をみると、「最低賃金の動向」(24.9%)が最も高く、次いで「物価の上昇」(24.8%)となっている。
■参考:日本政策金融公庫|「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果~「全国中小企業動向調査・中小企業編」 2024年10-12月期特別調査~|
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_250217.pdf