企業会計基準委員会(ASBJ)は5月26日、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」を公表した(7月27日まで意見募集)。
適用指針案は、日本公認会計士協会の監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」等の内容を踏襲しつつ、合理的な説明があれば繰延税金資産計上の積み増しを可能としている。
分類3に該当する企業では、5年を超える見積可能期間であってもスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合には、回収可能性があるものとするなど、柔軟な取扱いを容認している。例えば、IFRSを任意適用している企業で、7年分の繰延税金資産を計上しているケースであれば、単体の日本基準においても7年分の繰延税金資産を計上することが可能になる。
適用指針(案)は、平成29年3月期から強制適用されるが、平成28年3月期からの早期適用も認めている。また、適用初年度の取扱いについては、会計基準等の改正に伴う「会計方針の変更」として取り扱うこととされているため、繰延税金資産を計上しても貸借対照表の変更だけで損益計算書には影響されないことになる。