社会全体が高齢者介護の問題で深刻な悩みを抱えている。特に、両親等の介護の為に仕事を辞めざるを得ない問題(介護離職)である。例えば、両親等の介護が必要となり、介護施設に申込んでも入居出来ない場合である(老人待機又は費用不足等による)。ここでは、介護者が勤務者ではなく、商店街等の自営業者の場合を考えてみたい。A夫妻(ともに63歳)は某商店街で青果店を営む二代目である。A氏の両親(父親90歳、母親85歳)は仕事から離れた後も、A夫妻とずっと同居していた。父親は2年前特養施設に入居出来た。ところが、最近母親の認知症が進んだので特養施設に申込んだが、1年以上待機することになろうと言われた。仕事の能率が落ち、A夫妻の労働意欲を低下させてしまった。あと10年くらい商売を続けるつもりだったが、両親の介護が当分続くことを考えて廃業を決めた。
介護される人が年々増えて、介護する家族が減少又は高齢化(老老介護等)していることから、自営業者も商売に専念出来ない人が増えている。介護による廃業理由は、従来多くはなかった。これを予防する為には、今や従来の経営支援手法(公的融資・商店街支援・経営相談等)とは別の面からの対策と支援が必要になっている。