財務省はこのほど、フィナンシャル・レビュー(第158号)を発表し、中国の習近平体制第Ⅲ期が直面する内憂外患とその対応策を特集した。党3中全会決定の内容を詳細に紹介・分析し,現在の中国が直面する様々な課題・試練について,経済・政治・外交面から多角的に考察している。特に、2035年を見据えた中長期的視点から、中国経済の持続可能性についてもいくつかのシナリオを示している。
中国経済の成長率は低下傾向にあり、2018年から米中経済摩擦が激化した。2020年から新型コロナウイルス感染症が流行し、厳しいゼロコロナ政策を採用。さらに、プラットフォーム企業、不動産企業、私営塾等に対する規制・指導が強化され、経済は大きく減速した。この中で、不動産市場、地方政府債務、中小金融機関のリスクが顕在化し、中国経済の将来に対する民営企業、外資企業、消費者の確信は大きく揺らいでいる。また、米中摩擦は貿易摩擦の枠を超え、イデオロギー・安全保障面の対立にまで拡大している。本文では、〇党3中全会の経済部分の概要と注目点〇中国の不動産不況と金融リスク〇中国の中長期展望と制約要因〇習近平政権期の米中関係と台湾問題の「国際化」〇産業政策と経済摩擦、等多面的に考察している。
■参考:財務省|フィナンシャル・レビュー令和6年(2024年)第4号(通巻第158号)|
https://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list8/fr158.html