請求人の従業員がした仮装行為について、同行為が請求人から付与された権限の範囲内であり、かつ、請求人における十分な管理・監督体制が認められるかどうか等により、請求人の行為と認められるかどうかが問われた事例。
請求人は、請求人の従業員が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為は、事実の仮装に該当するが、(1)本件従業員は、請求人の一使用人として限定的な地位・権限を有していたにすぎないこと(2)本件行為は、本件従業員の独断的な不正行為であ
ったこと(3)請求人は、本件従業員に対して一定の管理・監督を行っていたことなどから、本件行為を請求人の行為と同視することはできない旨主張。
国税不服審判所は、本件従業員の地位・権限は一使用人として限定されたもので、本件従業員が自身の業務負荷の増大を避けるための独断的な行為ではあるものの、請求人から付与された権限の範囲内にて行われたものであり、請求人が不正の事実を把握して是正措置を講ずることは可能であっ
たとした。また、請求人における管理・監督体制が十分であったとはいえず、本件行為を納税者たる請求人の行為と同視することができると判断するのが相当とした。
■参考:国税不服審判所|請求人の従業員が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為は、事実の仮装に該当するところ、当該従業員の行為は、請求人の行為と同視でき、重加算税の賦課要件を満たすとした事例(令和2年4月1日から令和3年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分・棄却)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605040000.html#a134