サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、現在、「サステナビリティ開示基準の適用(案)」等(以下、SSBJ基準)に対して寄せられたコメントについて検討を行っているが、論点の1つとなっているのがスコープ1、スコープ2及びスコープ3の温室効果ガス排出の絶対総量の合計値の開示だ。
合計値の開示はISSB基準では求められていないが、報告企業の中には、スコープ別での開示に加え、3つのスコープの温室効果ガス排出の絶対総量の合計値を自社の温室効果ガス排出の絶対総量ととらえ、ネット・ゼロの目標に対する進捗として開示している場合があると考えられることなどから、SSBJ基準では求めることにしたものである。
しかし、公開草案には、財務諸表作成者を中心にISSB基準と異なる取扱いに対して反対するコメントが多く寄せられている。このため、SSBJは公開草案を変更し、スコープ1、スコープ2及びスコープ3の温室効果ガス排出の絶対総量の合計値の開示を求めないこととした。SSBJは、SSBJ基準においても各スコープの温室効果ガス排出の絶対総量の開示を求めることとしているため、これらの合計値は利用者でも算定可能であるとしている。
■参考:サステナビリティ基準委員会|SSBJ基準案の概要|
https://www.ssb-j.jp/jp/wp-content/uploads/sites/6/20240628.pdf