この裁決事例は、会社の事業年度の変更と剰余金の配当が、請求人の相続税負担を大幅に軽減することを意図して行われたものであり、財産評価基本通達に基づく評価が租税負担の公平性に反するため、評価額を上回る価額とすることが合理的と判断されたもの(令和6年3月25日)。
請求人は、原処分庁が財産評価基本通達6に基づき、請求人の祖母が保有していた取引相場のない株式の価額を評価通達の方法で評価した価額を上回る価額(原処分庁評価額)としたことが平等原則に違反すると主張した。
国税不服審判所は、(1)本件株式を発行する会社の事業年度の変更及びその決算期中の剰余金の配当を行ったことで、税額が約50%もの減少となる(2)請求人は、本件各行為が相続税の負担を減じさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、各々の臨時株主総会を開催し、本件被相続人らと意思を相通じて賛成の議決権を行使したと推認できる。このような状況下で、画一的な評価を行うことが他の納税者との間に不均衡を生じさせ、租税負担の公平性に反するため、国税庁長官の指示を受けて評価した価額によることが平等原則に違反しないとして、本件更正処分および賦課決定処分の適法であり、審査請求は理由がなく棄却するとした。
■参考:国税不服審判所|取引相場のない株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額が平等原則に違反するということはできないとした事例(令和6年3月25日)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0703000000.html#a134