東京商工リサーチは「2023年度の第三セクター鉄道運営会社(三セク鉄道)61社の経営動向調査」結果を発表した。それによると、同年度の業績については、全体の9割に当たる55社が売り上げを伸ばしたが、6割の37社は経常赤字から抜け出せず、地域によって明暗を分けたことが明らかになった。
特に旧国鉄から分離され、赤字路線などを承継した「旧国鉄転換型」の三セク鉄道の経営は深刻で、経常赤字は30社中、27社と9割に上っている。同社は「コロナ禍で落ち込んだ観光需要も急回復し、各社とも輸送人員の増加が目立つが、本業だけでは黒字化が難しい構造的な問題を抱えている」と指摘している。
三セク鉄道の売上高(営業収入)トップは東京・千葉・茨城を走る「つくばエクスプレス」を運営する首都圏新都市鉄道で、452億3500万円。2位は東京臨海高速鉄道(りんかい線)の179億2700万円。以下、東葉高速鉄道、北総鉄道、横浜高速鉄道と続いており、トップ10社はすべて都市型三セク鉄道が占めている。経常赤字額が最も多いのは肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)で、赤字額は8億7900万円。これに次くのは三陸鉄道(岩手県宮古市)で、赤字額は6億6700万円。
■参考:東京商工リサーチ|2023年度 「全国第三セクター鉄道61社」経営動向調査|
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198940_1527.html