税理士会で綱紀監察の研修を受講した。内容は「税理士による税理士法違反の今」だ。最近は名義貸し、信用失墜行為、そして使用人等に対する監督義務が増えているという。
名義貸しは税理士の高齢化が背景にあるようだ。「心身が弱ってだんだん業務が行えなくなり、やむなく無資格の我が子に名義貸しをして申告書を作らせる」ケースが相次ぐという。信用失墜行為も高齢化が要因だ。税理士自身の期限後申告と無申告が目立つが、本人に悪意があるわけではない。病気や入院でうっかり法定申告期限を過ぎてしまうケースが相次ぐという。
使用人等の監督義務違反は、コロナ禍で急増したリモートワークが背景にあるようだ。使用者たる税理士と使用人であるスタッフが別の空間で仕事をすると、使用者は使用人の業務を管理できなくなる。結果、使用人が使用者の承諾を得ないまま業務を受注してミスをしたり、依頼主の情報を漏洩してしまったりすることがある模様だ。人手不足解消の一助となったリモートワークだが、一方で管理監督責任が税理士に重くのしかかることとなる。
税理士法違反は最悪、税理士業務の停止・禁止となる。予定管理やマニュアル作りで対策を講じておきたい。
■参考:東京税理士会|税理士法違反行為Q&A|
https://www.tokyozeirishikai.or.jp/common/pdf/tax_accountant/ihan/ihan_qanda.pdf