被上告人は、厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)の施行日前から特別支給の老齢厚生年金及び特別支給の退職共済年金を受給していたが、平成28年5月分から支給停止、平成29年4月分から減額される処分を受けた。被上告人はこれらの処分の取消しを求めた。法令の概要としては、特別支給の老齢厚生年金及び特別支給の退職共済年金は、60歳以上で所定の要件を満たす場合に支給されるが、受給者が在職して賃金を得ている場合には支給停止がされることがある。一元化法により、特退共年金の在職支給停止の要件が特老厚年金に合わせられ、減額幅に上限が設けられた。
原審は、適用事業所を有する法人内での移動等により適用事業所が変更になったが、同一法人内で継続就労し雇用条件が異ならないので、本件配慮措置の適用措置ありとして、取消請求を容認した。最高裁は一元化法施行日の前から有していたB高校を適用事業者とする厚生年金保険の被保険者資格を喪失したため、本件に規定するものに該当しなくなったというべきで、特老厚年金及び特退共年金の本件配慮措置は適用されず、支給停止や減額は、一元化法の施行に伴うもので法令に基づく適法な処分であるとして、被上告人の請求を棄却した。
■参考:最高裁判所| 退職共済年金及び老齢厚生年金減額処分無効確認乃至取り消し等請求事件・ 令和6年9月13日・ 最高裁判所第二小法廷|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93343