合計額が5,000万円を超える国外財産、及び合計額が3億円以上の財産を有する請求人が所得税等の修正申告書を提出したところ、原処分庁が、国送法に規定する国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税の特例による加重措置を適用して過少申告加算税の賦課決定処分をした事案。請求人は、修正申告の基因となった財産から生ずる所得について確定申告をしていたこと、原処分庁の調査担当職員の確認を受けていたことなどから、当該財産はすでに特定済みであり、加重措置の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当しないと主張して処分の一部取り消しを求めた。令和5年12月7日裁決。
審判所は、財産債務軽減加重措置は、財産債務調書の提出と適正な記載を確保するインセンティブとして設けられていることに鑑み、その適用の可否は調書自体の記載内容から判断すべきとした。請求人が提出した国外財産調書では、米国で所有し賃貸の用に供している建物について種類欄や用途欄の記載誤り、所在地や戸数・床面積の記載漏れにより当該物件の特定は困難であり、また財産債務調書でも譲渡株式の種類や数量で記載の誤りや漏れがあり、当該株式の特定は困難と認められる。審査請求には理由がないとして、これを棄却した。
■参考:国税不服審判所|国外財産又は財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」は、国外財産調書又は財産債務調書の記載内容により判断すべきとした事例|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0602010000.html#a133