ホンダがブラジルの現地法人との取引をめぐり「移転価格税制」に基づく追徴課税の取り消しを国税当局に求めた訴訟の控訴審判決で東京高裁(杉原則彦裁判長)は13日、ホンダ側の主張を認め、約75億円の課税処分を取り消した1審東京地裁判決を支持、国税当局の控訴を棄却した。
ホンダは1975年、ブラジル・マナウスの自由貿易地域に二輪車を製造販売する現地法人を設立し、部品提供や技術支援を行ってきた。東京国税局は2004年、その取引価格が不当に低かったとみて、同業のブラジル企業を比較対象とし、現地法人の利益の一部は「親会社の日本側に帰属すべきだった」として、2003年3月期までの計5年分について250億円余りの申告漏れを指摘し追徴課税した。ホンダはこれを不服として提訴した。
報道によると杉原裁判長は、現地法人が受けていた税の優遇措置について「利益率に重要な影響を及ぼしていた」と判断。1審と同じく、同地域外にあったブラジル企業と比較するのは誤りだとし、国側の主張を退けた。移転価格税制をめぐっては、取引価格の適正さや利益の算定方法について税務当局と企業の主張が対立するケースが多く、武田薬品工業に対する約571億円の課税が全額取り消しになった例がある。