帝国データバンクは「2024年1-8月の美容室の倒産動向」を発表した。それによると、24年に発生した美容室の倒産(負債1000万円以上)は、8月までに139件発生、前年の同期間に比べて約1.5倍となった。同社は「このペースが続くと、通年の倒産件数は過去最多だった19年(166件)を大幅に更新し、初めて年間200件台に到達する可能性がある」とみている。
同社は美容室の倒産が急増した理由について、(1)新規開店が続いたことによる店舗間競争の激化(2)円安や原材料高の影響によるシャンプーをはじめとした美容資材の価格高騰、スタイリストなどの獲得難を背景とした人件費などの各種コストアップ-を挙げている。こうしたコスト高を理由に、各美容室では施術費用の値上げなどを行っているが、値上げをしても利益が「不変・減少」となったケースが8割を占めるなど、施術費用の引き上げが難航し、不安定な経営が続いている美容室も少なくないという。また、「顧客離れを懸念して値上げを見送る美容室も多く、相次ぐコスト増に耐え切れない美容室で市場からの退場がさらに進む可能性がある」(同社)。23年度の業績を見ると、損益面で「赤字」となった企業は4割を占めている。
■参考:帝国データバンク|「美容室」の倒産動向(2024年1-8月)|
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240901.html