先日、通勤途上で電車に文庫本を置き忘れ、往復2時間かけて保管駅まで取りに行った。数百円で買える本であるが、朱線を引いたり、所々にメモをしたりした為か、金銭価値だけではない愛着があった。
また、関与しているリサイクルショップで、こんなトラブルがあった。お客が相当使い古したブランドバッグを売りに来た。新入社員は、バッグが古くて商品価値が低いと思った為か、片手で乱暴に受取り上司に取り次いでしまった。お客は自身の体を粗末に扱われたように感じたかもしれない。当然、失礼な行為を丁重に謝罪し、納得して頂いた(因みに、このバッグは有名ブランドで、査定により20万円で買取った)。同様の商品への愛着(及びそのトラブル)は、中古車・中古不動産・古本等のリサイクル商品だけでなく、日頃愛用している商品による場合もある。例えば、化粧品の販売である。販売員が新商品を熱心に薦める際に、お客がこれまで使っていた化粧品の欠点を強調してトラブルになることもある。
お客が良いと思って長期間使っていた商品を手に取ったり、説明したりする時は、販売者は慎重な対応が求められる。お客の商品への愛着は、客観的な商品価値(価格・品質・見栄え等)とは異なる心情がある。