「武士道と言うは、死ぬ事と見つけたり」で有名な『葉隠』に、次の文がある。「若き時分、残念記と名づけて、その日その日の誤を書きつけて見たるに、二十三十なき日はなし。果てもなく候故止めたり。今にも一日の事を寝てから案じて見れば、言ひそこなひ、仕そこなひ無き日はなし」(山本常朝著、和辻哲郎・古川哲史校訂、岩波文庫)。
日常生活において、日々の細々した失敗(うっかりミス)は誰でも相当数あるであろう。職場においては、「うっかり、また失敗した。今日も同僚に迷惑を掛けた」が口癖になっている人がいる。中には、次々に失敗していても本人は余り気にせず、他人から敬遠されている人もいる。同じような失敗を繰返して反省しない事も困るが、過度に失敗を恐れたり、くよくよと愚痴を言ったりする事も困るものだ。
大切な事は、失敗した事を単に気にする事ではなく、同じ失敗を繰返さない心構えや具体的な予防策を持つ事である。例えば、大きな失敗の繰返しを防ぐのであれば、信頼する上司等に相談したり、関係の本を読んだりして、予防策を真剣に学ぶべきである。特に日常で繰返すうっかりミスは同僚や上司の信頼を損なうので、仕事の進め方を見直したり、商品知識や接客等の職務能力を高めたりする心掛けが大切だ。