上告人は、行橋税務署長による令和元年以後の事業年度の法人税に係る青色申告の承認の取消処分につき、事前に防御の機会が与えられなかったことをもって本件処分が憲法31条違反であると主張。最高裁判所の多数意見は、法人税法127条1項の規定による青色申告の承認取消処分については、権利利益の内容、性質等に照らし、その相手方に事前に防御の機会が与えあられなかったからといって、憲法31条の法意に反するものとは言えないとした。
補足意見も、総合較量は国税不服審判所で充実した審査請求手続が設けられている。また同旨判例もあり、その後法改正等による事情の変化もみられるが、それらも念頭において憲法判断の変更は要しないとした。
ただし、反対意見も出されており、処分庁が不利益処分を行う場合は、事前にその根拠法条とそれに該当する事実を通知し、相手方に事前に意見陳述の機会を保障することが憲法上の適正手続きとして要請されるとし、また、国税通則法74条の14第1項が青色申告承認取消処分を含む「国税に関する法律に基づき行われる処分」において、行政手続法第3章(不利益処分)の規定を除外していることで、例外を認めるべき合理的理由とする原判決を否定し、原判決破棄、取消請求を認容すべきとした。
■参考:最高裁判決|法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、事前に防御の機会が与えられなくても憲法31条違反ではない(令和6年5月7日・第三小法廷)|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92950