東京商工リサーチはタワーマンションから高層ビルまで、高所での建設作業を支えている「とび工事業者の実態調査」結果を発表した。それによると、2023年度のとび工事業の倒産(負債1000万円以上)は前年度比70.8%増の135件で、過去10年間で初めて100件を超え、これまで最多だった19年度の84件を大きく上回り、最多記録を更新した。
過去10年間のとび工事業の倒産件数は22年度までは毎年80件前後で推移していたが、23年度は急増した。同社は「時間外労働規制など24年問題の影響はこれから本格化する。建設現場に欠かせないとび工事業の倒産急増は、建設業界全体が真剣に取り組む問題でもある」と警鐘を鳴らしている。
135件の原因別では、売上不振(受注不振)が93件(前年度比89.7%増)で、約7割を占めた。次いで、赤字累積などの既往のシワ寄せが36件(同125.0%増)と倍増、とび工事業の倒産はほとんどが業績不振だった。また、人手不足が10件(前年度3件)、資材高騰など物価高が10件(同1件)といずれも急増。同社は「職人不足やコスト増が負担を増すなかで業績不振が進み、この原因が複合的に重なって業界が苦戦に陥っているようだ」と指摘している。
■参考:東京商工リサーチ|とび工事業の倒産が最多、とび職人不足や物価高が重しに「とび工事業者の実態調査」|
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198550_1527.html