共同住宅賃貸の一部空室 小規模宅地等特例の適用なし

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請求人は、相続開始の直前において、被相続人が所有していた建物の8部屋あるうち5部屋が空室であったが、被相続人は、本件共同住宅を貸付事業以外の用に供さず維持管理を行い、ネット上で各空室部分の入居者の募集をしていたことから、本件宅地の全てが貸付事業の用に供されていたとして、その全てに租税特別措置法第69条の4(小規模宅地等計算の特例)第1項の適用を主張。

国税不服審判所は、本件各空室部分の3部屋については、長期にわたって空室状態であり、相続開始の時に賃貸されていたのと同視し得る状況になく、一時的に賃貸されていなかったものとは認められない。また残る2部屋については、その問合せ先である被相続人と不動産業者は本件共同住宅に関して入居者を仲介した実績がないこと、長い間空室の状況を把握していなかったこと等で、被相続人が上記一般媒介契約及び上記広告を放置していたにすぎず、積極的に新たな入居者を募集していたとはいえないとし、当該2部屋についても前述3部屋と同様の状況とした。

よって本件各空室部分は、被相続人の貸付事業の用に供されていたとは認められないから、本件宅地のうち、本件各空室部分に対応する部分に本件特例の適用はないと説示した。

■参考:国税不服審判所|相続開始時に共同住宅の貸室の一部が空室であった際、貸付事業用宅地等に該当せず、小規模宅地等の特例の適用はないとした事例|

https://www.kfs.go.jp/service/MP/12/0303000000.html#a131