金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」は12月25日、報告書を取りまとめた。今後、金融審議会の総会で報告し、通常国会に金融商品取引法の改正法案として提出する。
現行、市場外取引又は市場内取引(立会外)による買付け等の後の株券等所有割合が3分の1超となる場合(3分の1ルール)には、公開買付けの実施が義務付けられているが、近年、市場内取引(立会内)を通じて議決権の3分の1超を短期間のうちに取得する事例が見受けられることから、報告書では、会社支配権に重大な影響を及ぼすような証券取引の透明性・公平性を確保する観点から、市場内取引(立会内)についても3分の1ルールの適用対象とすべきとした。
また、3分の1ルールの閾値については、「30%」に引き下げることが適当としている。諸外国の公開買付制度では30%としている例が多く、加えて日本の上場会社の議決権行使割合が90%未満であることを勘案すると、30%の議決権が有れば、多くの上場会社において株主総会の特別決議を阻止することができるとしている。なお、公開買付けに関する事前・事後の救済制度を設けるか否かについては結論が出ず、引き続き検討するとされている。
■参考:金融庁・金融審議会|「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」報告の公表について|
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20231225.html