被上告人は平成31年4月7日の大阪市議会議員選挙に当選、その後令和元年9月6日、公職選挙法221条3行11号等により懲役1年、執行猶予5年の有罪判決を受け、令和2年2月13日に確定した。上告人は令和元年5月分から令和2年2月分までの議員報酬並びに令和元年6月分および同年12月分の期末手当の合計額1001万0611円を支給。
また、令和元年6月19日、被上告人が本人のみを所属議員とする会派を結成、その政務活動費410万4000円を交付した。有罪確定後、上告人が本件議員報酬相当額および本件政務活動費相当額の不当利得の返還請求を求めた事案。被上告人は各相当額と同額の不当利得返還請求権を自働債権とする相殺の抗弁を主張した。
原審は、被上告人は、政務活動費および議員報酬について、相応の活動や調査研究を行ったことに係る利益を受けた部分について上告人への不当利得返還請求権を有するとした。
これに対し最高裁判所は、公職選挙法251条の規定により遡って市会議員の職を失った当選人が市会議員として活動を行ったとしても、上告人との関係で価値を有しないため、市会議員としての活動による不当利得返還請求権を有しないとし、原審の判断に法令違反ありとした。
■参考:最高裁判所|公職選挙法251条の規定により遡って職を失った当選人は、議員として行った活動に関し不当利得返還請求権を有しない|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92565