マンション請負代金回収巡り 請負人への利益侵害認めず

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本件マンションは、M社が、敷地利用権付きで分譲販売する計画の下に、本件敷地の所有権を取得の上、被上告人との間で本件契約を締結して建築された。M社は、被上告人に対し、平成28年6月末を期限とする約定の中間金1億5000万円を支払うことができず、同年7月27日、被上告人のために本件敷地に極度額を6000万円とする根抵当権を設定し、その旨の登記がされた。

被上告人は、M社の代金支払の遅滞が続いたこと等を受け、本件工事を中止し、本件マンションを自社管理物件とし、以後、敷地利用権付きで自ら分譲販売することとした。M社は、本件マンションの引渡しを受けて自社で敷地利用権とともに一棟売りしたい旨要望したが被上告人は応じなかった。被上告人はM社について債権者破産を申し立てることで、本件マンションの敷地利用権付き分譲販売が可能になる見込みのもと、M社の破産管財人から本件敷地の譲渡を受けた。

M社は上告人A社に本件敷地を譲渡して所有権移転登記を行い、上告人は被上告人に対し妨害行為を行った。本件は被上告人の損害および遅延損害金の連帯支払いを求める事案で、最高裁は原審の判断を認めず、被上告人の利益は法的保護に当たらず原判決を破棄し請求を棄却した。ただし2名の反対意見あり。

■参考:最高裁判所|マンションの請負工事で注文者から上記マンションの敷地を譲り受けた行為が、自ら上記マンションを分譲販売する方法によって請負代金債権を回収するという請負人の利益を侵害するものとして上記債権を違法に侵害する行為に当たらないとされた事例(令和5年10月23日・第一小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92441