消滅会社株主の株式買取価格 委任状の反対通知の取扱い

LINEで送る
[`yahoo` not found]

本件は、スジャータ社の株主である抗告人が、同社を吸収合併消滅会社とする吸収合併についての会社法785条2項所定の反対株主であるとして、株式を公正な価格で買い取ることを請求し、その価格の決定についての申立てをした事案。

スジャータ社は臨時株主総会を令和2年11月13日に開催することとし、抗告人に対し、本件総会の招集通知を発するとともに、委任状用紙に議案への賛否等を記載して返送するよう議決権の代理行使を勧誘した。抗告人は、賛否欄の「否」に〇印を付け、欄外に「合併契約の内容や主旨が不明の上、数日前の通知であり賛否表明ができません」との付記をして委任状を返送した。また抗告人は合併前まで全株式を公正な価格で買い取ることを請求した。令和2年12月1日スジャータ社は吸収合併された。抗告人は反対株主であると主張し申立てた。

原審は、抗告人は反対通知に当たらず不適法であるとして却下すべきとした。

最高裁は、抗告人が本件賛否欄に記載した内容は、議決権の代理行使の内容を指示するだけではなく、同社に対する応答であり、本件議案に反対する理由を記載したものとした。よって抗告人が本件委任状を送付したことは、反対通知に当たると解するのが相当であるとして、原決定を破棄し差し戻した。

■参考:最高裁判所|吸収合併消滅株式会社の株主が株主総会委任状を送付したことが会社法785条2項1号イにいう吸収合併等に反対する旨の通知に当たるとされた事例(令和5年10月26日・第一小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92454