性同一性障害特例法の規定 憲法13条違反と判断-最高裁

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本件は、生物学的な性別は男性であるが心理的な性別は女性である抗告人が、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「特例法」)3条1項の規定に基づき、性別の取扱いの変更の審判を申し立てた事案。

原審は、特例法の制約の態様等には相当性があり、憲法13条・14条1項に違反するとは言えないとして、本件申立てを却下すべきとした。

最高裁は、性同一性障害の治療は、特例法の制定当時は段階的治療という考え方に基づいていたところ、その後、障害を有する者の示す症状は多様であり、どのような身体的治療が必要であるかは患者によって異なるとされる。憲法13条によって、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由が、人格的生存に関わる重要な権利として保障されていることは明らかであり、本件規定は、性別変更審判を受けるためには、原則として生殖腺除去手術を受けることを要求するものであり、医学的にみて合理的関連性を欠き、過剰な制約になっているというべきであると判断。

よって、本件規定は憲法13条に違反するものであり、これと異なる結論を採る最高裁平成30年(ク)第269号同31年1月23日第二小法廷決定は変更する。原決定は破棄を免れず、審理を尽くさせるため高裁に差し戻す、とした。

■参考:最高裁判所|性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件(令和5年10月25日・大法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/446/092446_hanrei.pdf