企業会計基準委員会(ASBJ)は退職給付会計における複数事業主制度の注記の取扱いについて検討を開始した。
退職給付会計では、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができない場合の複数事業主制度については、当該年金制度全体の直近の積立状況等について注記することとされている(退職給付会計第33項(2))。この「直近の積立状況等」は、年金制度全体の直近の積立状況等(年金資産の額、年金財政計算上の給付債務の額及び差引額)及び年金制度全体の掛金等に占める自社の割合並びにこれらに関する補足説明をいうものとするとされている(退職給付適用指針第65項)。
しかし、厚生労働省が平成24年1月に発出した「厚生年金基金の財政運営について等の一部改正及び特例的取扱いについて」と題する通知では、平成24年度財政決算から、厚生年金基金制度の財務諸表の勘定科目が変更されている。
この変更により、退職給付適用指針で求められている「直近の積立状況等(年金財政計算上の給付債務の額)」をどのように記載すべきか、実務上の課題が生じていた。このため同委員会では、注記する金額や勘定科目の名称などの取扱いを明確化する方針だ。