ジェトロは年次レポート「2023年 ジェトロ世界貿易投資報告」を発表、国際貿易・投資の秩序の揺らぎと、各国の政策によって高まる分断リスクに企業がどう向き合うべきか、そのヒントを提示している。ポイントは以下の4つ。
(1)世界と日本の経済・貿易:2022年の世界貿易は金額、数量ともに前年比で増加したが、2023年にかけて、増勢は失われつつある。世界経済の先行きの不安定化などが下振れリスクに。ウクライナ紛争の長期化、貿易制限措置の増加、米中関係をはじめとする地政学リスク等で自由貿易体制に歪みが生じている。(2)世界と日本の直接投資:インフレの高進や金利の高止まり、債務の増大などで2022年後半から下降局面に。一方、米国やEUを中心に戦略産業の誘致競争が本格化し多国籍企業の大型投資案件が増加。(3)世界の通商ルール形成の動向:各国独自の政策、関連規制の増加が、企業の貿易環境の不確実性を高め、貿易取引の拡大や多角化を阻害している側面も。対応強化が急務。(4)持続可能な社会を目指す政策とビジネス:世界のESG債券投資が一転減少へ。ESG投資に変化の兆し。EUの「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」の施行で炭素価格は新たなステージに。
■参考:ジェトロ|2023年版 ジェトロ世界貿易投資報告 ―分断リスクに向き合う国際ビジネスー|
https://www.jetro.go.jp/news/releases/2023/93108e7aaff3aa6f.html