国税庁は今般、令和4年度の査察の概要を公表した。145件の調査に着手、処理件数は139件で、うち告発件数は103件。告発率は74.1%と、平成18年度以来の高水準となった。脱税総額は100億円で、1件あたり脱税額は97百万円。
重点事案として、1)消費税事案(告発34件):化粧品等の架空の課税仕入れを計上し、輸出物品販売場において外国人観光客に対する架空の免税売り上げを計上した例など不正受還付事案が16件、不正受還付額は13億4700万円。2)無申告事案(同15件):競艇予想情報の投稿及び販売に係る収入について、確定申告を行わず故意に納税を免れていた単純無申告ほ脱事案、等 3)国際事案(同25件):暗号資産を取引所で譲渡した取引の主体を外国法人に仮装する方法などで法人税又は所得税を免れていた事案、等。その他、SNSを利用して多数の給与所得者を勧誘、所得税の不正還付を指南した上で虚偽の還付申告書を提出させた事案など、時流に即した社会的波及効果が高い事案を告発した。
令和4年度中の一審判決は61件。全てに有罪判決が言い渡され、うち3人に実刑判決が出された。告発件数及び脱税額は、法人税が47件で43億円、続いて消費税が34件で30億円となった。
■参考:国税庁|令和4年度査察の概要|
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sasatsu/r04_sasatsu.pdf