税法の不備による処分取消主張 審判所の権限外で処分も適法

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この事案の審査請求人は給与所得者であり、外国為替証拠金取引や株式等の譲渡取引によって利益や損失を生じていた。また、上場株式等の譲渡取引によって利益を得ていたが、確定申告書を提出していなかった。原処分庁は所得税等の調査を行い、本件各年分の所得税等の各決定処分および無申告加算税の各賦課決定処分をした。

請求人は原処分について、国税に関する法律に基づいて実施された処分であることを認める一方、先物取引や株式の譲渡取引の各損益が、全ての期間の損益通算で赤字となる場合は3年を超える期間であっても通算を認めるべきであり、また、先物取引と株式の譲渡取引の損益の間でも通算を認めるべきだとし、よって現行の法律には不備がある旨主張した。

国税不服審判所は、審判所の機能として原処分庁が行った処分が違法又は不当なものであるか否かを判断する機関であって、その処分の基となった法令自体の適否又は合理性を判断する権限はないとした。該当する期間での確定申告が1年分しか提出されておらず、その「正当な理由」も認められない。従って繰越控除もできないため、各所得金額および所得税等納付すべき税額を計算すると決定処分と同額になり、本件賦課決定処分はいずれも適法とし、審査請求を棄却した。

■参考:国税不服審判所|法律の規定に不備がある旨の主張は採用できないとした事例(令和4年11月2日裁決)|

https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0805000000.html#a129