精神科病院にて無断離院し自殺 防止策の説明義務違反なし

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統合失調症の治療のため、本件病院(上告人)に入院した患者が、入院中に無断離院をして自殺したことについて、相続人である被上告人が、上告人は無断離院の防止策が十分に講じられていない等の本件患者に対する説明義務を果たしていない等により、債務不履行に基づく損害賠償を請求した。
本件病院の精神科は、入院後しばらくの間は外出を禁止されるが、症状が安定し主治医が自傷他害のおそれがないと判断したときは、敷地内に限り単独での外出を許可されていた。本件患者は看護師に対し、敷地内の散歩を告げて病棟から外出し、そのまま敷地外に出た後、付近の建物から飛び降りて自殺した。当時、院内外出は許可されていたが、敷地外への外出は許可されていなかった。入院中は、自殺企図や、希死念慮を訴えたりすることはなかった。

原審は、単独での院内外出が許可されている任意入院者に無断離院をして自殺する危険性があることを説明すべき義務を負っていたとして、説明義務違反を理由とする被上告人の損害賠償請求を一部認容した。

最高裁は、任意入院者が無断離院をして自殺する危険性が特に高いという状況はなかったとし、他の病院を選択する機会を保障すべき理由もないとして、原審の上告人敗訴部分を破棄、被上告人の請求を棄却した。

■参考:最高裁判所|精神科病院の患者が無断離院をして自殺した場合、設置者に防止策についての説明義務違反があったとはいえないとされた事例|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91716