財務省広報誌「ファイナンス1月号」では、財政制度等審議会・財政制度分科会が取りまとめた「令和5年度予算の編成等に関する建議」について、財務総論の中のポイントとなる点を紹介している。
冒頭イギリスの財政運営における混乱を他山の石として、毎年度の国債発行額をできる限り縮減し、債務残高を抑制することで市場の不信を招かぬよう責任ある財政の運営の重要性を説いている。また、欧米諸国におけるインフレの進行と財政運営の基調変化の具体的な取組例を紹介しつつ、日本の危機対応の支援策を、手厚く長く続けてしまう傾向にあるとし、財源の裏付けおよび民間活力を失わないバランスの取れた支援の必要性を指摘している。
日本経済の30年間にわたる長期低迷を振り返り、様々な財政措置にも関わらず、日本経済の成長力が全く高まらなかったという現実を真摯に受け止め、必要な規制・制度改革等とあわせて、歳出全体を通じて「成果志向の支出」を徹底すべき、と加えている。
目指すべきは民間需要主導の経済成長で、実施すべきは家計・企業の活力を引き出す政策対応である、とした。政府はそれを受け、「財政に対する市場の信認」を維持し、「将来世代への責任」を果たせる予算として活かしていきたいとしている。
■参考:財務省|財政制度等審議会「令和5年度予算の編成等に関する建議」について(広報誌「ファイナンス」1月号)|
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202301/202301h.pdf