大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年市条例第1号)2条、5~10条は、一定の表現活動をヘイトスピーチとした上で、該当する表現活動のうち市の区域内で行われたもの等について、市長が表現の内容の拡散防止のために必要な措置等をとるほか、
市長の諮問で当該表現活動が定義に該当するか否か等について調査審議等をする機関として、大阪市ヘイトスピーチ審査会を置くこと等を規定している。
市の住民である上告人らが、各規定が憲法21条1項等に違反し無効であるため、委員の報酬等に係る支出命令は法令上の根拠を欠き違法などとして、市の執行機関である被上告人を相手に、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、当時市長の職にあった者に対して損害賠償請求をすることを求める住民訴訟を提起した。その上告審で最高裁第三小法廷は、各規定は憲法21条1項に違反するとはいえないとし上告を棄却した。
最高裁は「表現の自由の制限は合理的で必要やむを得ない限度にとどまる。定義を規定した2条1項、市長が拡散防止措置等をとるための要件を規定した5条1項は、具体的場合に当該表現活動が適用を受けるかどうかの判断を可能とするような基準が読み取れ、不明確とも過度に広汎な規制ともいえない」とした。
■参考:最高裁判所|大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条~10条は,憲法21条1項に違反しない(令和4年2月15日・第三小法廷・棄却)|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90920