「不正性」認められず控訴棄却 不正指令電磁的記録保管事件

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最高裁第一小法廷は不正指令電磁的記録保管事件で原判決を破棄、控訴を棄却した。

原判決は、被告人に無罪を言い渡した第1審判決を破棄し、被告人を罰金10万円に処した。ウェブサイト「X」を運営する被告人が、閲覧者が使用する電子計算機の中央処理装置に閲覧者の同意を得ることなく仮想通貨モネロの取引履歴の承認作業等の演算を行わせ、演算が成功すると、報酬としてモネロの取得が可能になるマイニングを実行するプログラムコードを取得するためのプログラムコードを提供、登録者にも報酬が分配されるようにした。本件コードは、被告人がX閲覧を通じて利益を得るため、閲覧者の同意を得ることなくその電子計算機においてマイニングを行わせるために保管したもので、不正指令電磁的記録保管罪に問われた。

主な争点は、本件コードが刑法168条の2第1項にいう「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」に当たるか否か(仮に前段の要件を「反意図性」、後段の要件を「不正性」とする)。

最高裁は反意図性と不正性のそれぞれについて詳しく説示。本件コードは、反意図性は認められるが、不正性は認められないとした。

■参考:最高裁判所|○その意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」に当たるか否か○ウェブサイトの閲覧者の同意を得ることなくその電子計算機を使用して仮想通貨のマイニングを行わせるプログラムコードが不正指令電磁的記録に当たらない(令和4年1月20日・第一小法廷)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90869