抗告人は相手方を債務者として、社債、株式等の振替に関する法律2条4項に規定する口座管理機関であるSMBC日興証券が備える振替口座簿に開設した亡A名義の口座に記録された株式・投資信託受益権・投資口につき、相続人である相手方ほか4名が共同相続し、相手方がそれらの共有持ち分を有するとして、持ち分に対する差し押さえ命令を申し立て、命令を得た。
抗告人が差し押さえられた持ち分について譲渡命令の申し立てをした事案で、最高裁第二小法廷は原決定を破棄し、大阪高裁に差し戻した。
原審は、持ち分に係る株式・投資信託受益権・投資口について相手方名義の口座に記録等がされていないとして、差し押さえ命令は違法、申し立ては不適法、執行裁判所は譲渡命令はできず、申し立ては不適法と却下した。
最高裁は、被相続人名義の口座に記録等がされている振替株式等が共同相続された場合、共同相続により債務者が承継した共有持ち分に対する差し押さえ命令は、債務者名義の口座に記録等がない事をもって違法とはいえないとするのが相当であり、執行裁判所は譲渡命令の申し立てが共同相続により債務者が承継した共有持ち分についてのものであることから直ちに譲渡命令を発することができないとはいえないと解するのが相当とした。
■参考:最高裁判所|譲渡命令に対する執行抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
(平成31年1月23日・第二小法廷・破棄差戻)|
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88273