甲が認知症あるいは要介護状態となった場合に財産管理等を行ってもらうために、甲の推定相続人の一人である実子乙との間で、甲を委託者兼受益者、乙を受託者および受益者の死亡により信託が終了した時の残余財産帰属権利者として、所有する建物と宅地および金銭を信託財産とする信託契約を締結した。
甲の死亡により信託が終了した場合、信託財産は残余財産帰属権利者として指定されている乙が取得し、既に乙が死亡していた時には乙の子が取得する。乙が信託財産を取得する場合、信託契約の終了に伴う不動産に係る所有権移転登記について、登録免許税法第7条《信託財産の登記等の課税の特例》第2項の規定が適用され、相続による所有権の移転登記とみなして特例が適用されると解してよいかについて書面で事前照会したのに対し、名古屋国税局はその通りでよいと書面回答した。
特例の適用には3つの要件が必要。照会のケースでは、要件1「信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合」に懸念が残るが、信託法の定義に基づき乙が「受益者」に当たるか否かを判断すると、残余財産帰属権利者である乙は本件信託の清算中、受益者とみなされるので、乙は登録免許税法の「受益者」に該当すると考えられ、全要件を満たすと解されるとした。
■参考:国税庁|信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について|
http://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/sonota/181200/01.htm#besshi01