国税庁は31事務年度(30年7月~31年6月)入りに合わせ、消費税調査のフロントランナーとして統括国税実査官(消費税担当統実官)を設け、東京国税局と大阪国税局にそれぞれ1人ずつ配置した。統実官の設置は、国際化・ICT化の進展などを背景に、消費税「固有の非違」に係る事案が多様化してきたため。
消費税担当統実官には、他局や関係行政機関を含む関係部署と円滑かつ緊密に連携・協調することにより、(1)消費税の観点からの情報収集・分析や調査企画等に取り組む(2)消費税に関する調査手法・情報分析手法を含めたノウハウを開発・共有し、調査実施部署での消費税調査の質的・量的な充実を図る―ことが期待される。
国税庁は最近、不正還付を含む不正計算や固有の非違を念頭に置いた消費税調査等に重点的に取り組んでいるが、消費税担当統実官の設置により▽法人税の観点で調査選定を行った一般同時調査においては、消費税の固有の非違の把握を意識した調査の実施を徹底する▽消費税の観点から実施する重点項目調査については、固有の非違を念頭に調査を実施する―方針。消費税率の10%への引き上げと軽減税率制度の導入を控え、消費税に関する調査はこれまで以上に強化される方向にあるといえる。